このブログでは7月から週1本のペースで、中小企業のAI活用について書いてきました。この記事は、その区切りの1本です。
ただ、12本を頭から順に読む必要はありません。まだAIに触れていない会社と、すでに一部の業務で成果が出ている会社とでは、いま必要な情報がまったく違うからです。
そこで、この記事では2つのことをまとめます。1つ目は、自社がいまどの段階にいるかを確かめる方法。2つ目は、段階ごとに読む順番です。
先にお断りしておきます。この記事で紹介する「AI成熟度診断」は、当社のサービスの入口です。無料ですが、結果を見てご相談いただくことを期待して作っています。そのうえで、診断を受けなくても使えるように、段階の見分け方と読む順番はこの記事の中で完結させました。
AI成熟度診断は、6問で「いまの段階」を4つに分ける
AI成熟度診断は、当社のサービスページで受けられる無料の簡易診断です。設問は6つ、回答にかかるのは60秒ほどです。IPA(情報処理推進機構)の「DX推進指標」を参考に、中小企業向けに設問を絞っています。正式な認定や評価の制度ではないので、自社の現在地を確かめるための目安として使ってください。
最初の2問では、減らしたい業務と、それにかけている時間を聞きます。段階の判定に使うのは、残りの4問です。
- 情報の所在 — 業務の情報が紙や口頭にあるのか、共通のシステムに集まっているのか
- AIの利用状況 — まだ使っていないのか、ルールを決めて運用しているのか
- 体制 — AI活用のルールと担当者がいるか
- 導入時期 — いつ頃の導入を考えているか
1点だけ補足します。AIをまだ使っていない場合はLv2まで、ルールも担当者もない場合はLv3までの判定にとどまるように作っています。情報がきれいに整理されていても、実際に使った経験や社内の決まりがないまま次の段階の施策に進むと、途中で止まりやすいと考えているからです。
4つの段階と、90日で目指すこと
判定は4段階です。診断のあと、希望される方には段階ごとの「90日ロードマップ」(PDF・全6ページ)をメールでお送りしています。それぞれの段階で90日をかけて目指すことは、次のとおりです。
どの段階のロードマップも、90日を30日ずつ3つに分け、それぞれに「完了の目安」を付けています。あわせて、その段階でつまずきやすい3つのポイントと、自社で進めやすいケース・伴走支援が向くケースの見分け方も載せています。
なお、Lv1は遅れではありません。まだ手をつけていないぶん、小さな工夫だけで効果が見えやすい位置にいます。段階の数字は優劣ではなく、次にやることの違いです。
自社がどの段階にあたるかは、60秒のAI成熟度診断でその場で確かめられます。結果が表示されるまで、メールアドレスの入力は要りません。
段階ごとに、読む順番は変わる
ここからが、この記事の本題です。このブログの12本を、段階ごとに並べ直しました。上から順に読んでいただくと、つながりが見えやすくなります。
Lv1 これから型 — まず「何に使うか」から
- 一人社長のための、生成AIとの距離感 — ツールの名前より先に確かめたい3つのこと
- 中小企業のDX「最初の1手」の選び方 — 最初に選ぶ業務を、9つの観点で見る
- 生成AIに入れていい情報・ダメな情報 — 試す前に、入れない情報だけは決めておく
Lv2 個人先行型 — 個人の使い方を、会社の決まりにする
- AI導入が失敗する会社の5つの落とし穴 — とくに「人が最後に確認する設計がない」と「情報の線引きを決めずに止まる」
- 問い合わせ対応は、下書きまで — 任せ方の4つの段階。個人の工夫を、チームで同じ手順にしやすい業務です
- 受発注メールの180分が、30分になるまで — 事例01。個人の工夫ではなく、手順として組み替えた例
Lv3 部分導入型 — 成果が出た業務の、隣へ広げる
- EC商品ページの公開を、5日から半日に — 事例02。5日のうち最も長かった承認待ちを、どう縮めたか
- 議事録と契約書ドラフトを、月40時間から8時間に — 事例03。AIに渡す作業と、人が持ち続ける判断を分けた例
- 内製か外注か、分岐点は3つ — 広げるときに、どの工程を自社に残すか
Lv4 組織活用型 — 自動化の範囲を、どこで止めるか
Lv4向けに書き下ろした記事は、まだありません。そのうえで読み直していただきたいのは、次の2か所です。
- 問い合わせ対応の記事の後半「自動送信に進む前に、決めておく3つ」
- 事例03の「起案者は、100%人である」という線引き
段階に関係なく — お金と、外の支援を考えるとき
- AI導入、実際いくらかかるのか — 費用は4つのBOXに分かれる。社内の時間も費用に数える
- 「補助金2026」、うちの会社は使えるのか — 補助金は値引きではない。制度に業務を合わせない
- AIコンサルに、契約の前に聞く5つの質問 — 肩書きではなく、質問への答え方で見分ける
12本を通して、繰り返し出てきた3つのこと
12本を並べてみると、テーマは違っても、同じ結論に何度も行き着いています。
1つ目 時間の正体は、見えている作業と違う
受発注メールの180分は、分けてみると「読む・判別する・転記する・調整する・確定する」の5工程でした。法律事務所の月40時間のうち最も重かったのは、書く速さではなく、録音を再生しては止める反復です。どこにAIを使うかは、時間を工程に分けてから決める。3つの事例は、どれもこの順番で進めています。
2つ目 作業は任せ、判断は残す
受発注メールで最後に残った30分は、判断と承認、それに微修正です。EC商品ページでは、キャッチコピーの完全な自動公開をやめ、AIに3案を出させて人が選ぶ形に戻しました。法律事務所では、条項のリスク判断にAIを一切使っていません。問い合わせ対応で「下書きまで」を勧めたのも、同じ理由からです。時間が減ったのは、人の判断をなくしたからではなく、判断以外を渡したからです。
3つ目 いちばん効く変更は、自社にしか決められない
EC商品ページの5日のうち最も長かったのは、店長と経理が順番に確認する社内チェックでした。そこを縮めたのはAIの機能ではなく、価格・在庫・カテゴリの権限を担当者に委ね、「順番待ち」を「即時確認」に変えた運用の変更です。何を入れてよいかという情報の線引きも、最後は自社のルールとして決めるしかありません。外の支援にできるのは、決めるための材料をそろえるところまでです。
診断を受けたあとの流れ
診断でお預かりした情報は、取得から90日を目安に削除しています(プライバシーポリシー)。ロードマップだけ受け取って、自社で進めていただいても構いません。PDFの最後には、自社で進めやすいケースも書いています。
この診断が向かない場合もある
次のような場合は、この診断を受ける必要はあまりありません。
- 変えたい業務も、使うツールも、すでに決まっている — 段階を測るより、その業務を工程に分けるところから始めたほうが早いです
- 取引先や金融機関に出すための、正式なDXの評価が必要 — IPAの「DX推進指標」の自己診断そのものをお使いください。この診断は、その考え方を参考にした簡易版です
- 全社のシステムの入れ替えを検討している — 6問では足りません。個別にご相談ください
グローカルワークスは福岡市中央区で創業して20年、100社を超える企業の業務改善に伴走してきました。AI導入支援に限っても20社を超え、自社の業務にもAIを使っています。このブログの記事も、引き続き更新していきます。福岡・佐賀のほか、オンラインでも対応します。
なお、段階はあくまで目安です。同じ段階でも、業務の中身や社内の事情によって次の一手は変わりますし、同じ順番で進めれば同じ結果になるとは限りません。まずは1業務から試すことをおすすめします。
よくある質問
AI成熟度診断とは、何ですか?
6つの設問に答えて、自社のAI活用の段階を4段階で確かめる無料の簡易診断です。IPA(情報処理推進機構)の「DX推進指標」を参考に中小企業向けに設問を絞っており、回答は60秒ほどで終わります。正式な認定や評価の制度ではないため、次に何をするかを決めるための目安としてお使いください。
診断を受けると、営業の連絡が来ますか?
結果が表示されるまで、メールアドレスの入力は不要です。90日ロードマップを受け取る場合はメールアドレスが必要ですが、サービスのご案内メールは、別のチェック欄で同意いただいた場合に限ってお送りします。診断でお預かりした情報は、取得から90日を目安に削除しています。
90日ロードマップには、何が書かれていますか?
判定された段階ごとに、90日間を30日ずつ3つに分けた進め方と、それぞれの完了の目安をまとめたPDF(全6ページ)です。その段階でつまずきやすい3つのポイントと、自社で進めやすいケース・伴走支援が向くケースの見分け方も載せています。社内でそのまま共有できる形にしています。
まず、自社の段階を確かめる。
12本のどれから読むかは、段階で変わります。無料の診断なら、60秒でその場で確かめられます。