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そのAIコンサル、
契約の前に
5つ聞いてください

「AIコンサルタント」は、名乗るのに資格が要りません。だから、選ぶ側で見分ける必要があります。提案書の厚さや事例の数では分かりません。聞き方さえ決めておけば、1時間の面談でかなりの部分が見えます。

「AIに詳しいという会社さんから提案をもらったんですが、これって妥当ですかね」

この一年ほど、こういうご相談が増えました。見せていただく提案書は、たいてい立派です。ツール名と機能の一覧が並び、他社の事例も載っている。ところが読み進めても、「その結果、うちのどの業務が、何分短くなるのか」が書かれていないことがあります。判断材料が足りないのは、読む側の問題ではありません。そもそも書かれていないのです。

先に立場を明かします。当社もAI導入支援を行っています。つまりこの記事は、同じ質問をされる側が書いています。都合の悪い項目を外していないか——そう疑いながら読んでいただいて構いません。最後に「当社ならどう答えるか」も書きました。そこまで含めて判断材料にしてください。

なぜ、選ぶのが難しいのか

理由は3つあります。

ひとつめ。「AIコンサルタント」は業務独占資格ではありません。税理士や行政書士のように、名乗るために登録が要る肩書きではないのです。関連する公的資格に中小企業診断士やITコーディネータなどがありますが、AI導入支援を独占する資格ではありませんし、持っていない人に力がないという意味でもありません。肩書きは、判断材料としては弱いということです。

ふたつめ。成果物が目に見えません。ホームページなら出来上がりを見て良し悪しをある程度は言えますが、「業務の変え方」は契約前に見ることができない。だから提案書の体裁で判断してしまいがちです。

みっつめ。「AIに詳しい」と「業務を変えられる」は別の能力です。前者はツールの知識、後者は人と手順の設計。提案書に出やすいのは前者だけです。AI導入が失敗する5つの落とし穴で書いたとおり、失敗の多くはツール選定ではなく業務側の設計で起きています。

だから、質問するしかありません。以下の5つは、順番にも意味があります。

質問01「うちのどの業務を、どう変えるつもりですか」

最初に聞くのはこれです。答えがツール名から始まったら、いったん保留してください。

望ましい答えは、業務の話から始まります。「まず、いまどの作業に何時間かかっているかを一緒に測らせてください」「そのうえで、どの工程を機械に任せられるか切り分けます」。地味ですが、これが正しい順番です。

実際、受発注メールの処理に毎日180分かかっていた会社では、まず180分を「読む・判別する・転記する・調整する・確定する」の5工程に分けるところから始めました。AIで減らせるのは一部だけで、判断の工程は減りません。この切り分けをしないまま「メール対応をAI化します」と言う提案は、後でずれます。

もうひとつ。「全部お任せください」「何でもできます」という答えは、頼もしく聞こえますが注意したいところです。理由は質問04につながります。

質問02「費用の内訳を、4つに分けて出せますか」

総額だけの見積書は、比較ができません。AI導入の費用を4つのBOXに分けた記事で整理したとおり、費用は次の4つに分かれます。

  • ツールの利用料 — 月額いくら、何人分か
  • 初期の設計・整備 — 業務の棚卸し、手順書、初期設定
  • 社内の学習時間 — 請求書には載らないが、確実にかかる
  • 運用と改善の継続費 — 何ヶ月、どの頻度で見てもらえるのか

ここで効くのが3つめです。社内の人が使い方を覚え、手順を作り直す時間は、相手の請求書には載りません。だからこそ見積の場でこちらから聞く価値があります。「うちの担当者は、週に何時間くらい取られますか」。当社がご一緒した案件では、社内側の稼働が週6〜8時間ほど必要でした。

「特にかかりません」と即答する相手には注意してください。かからないのではなく、見積もっていない可能性があります。その負担は、運用が始まってから現場に出ます。

とはいえ、自社の現在地が分からないまま質問だけしても、答えの良し悪しは判断しにくいものです。先に自社の位置を把握しておくと、面談での聞き方が変わります。60秒のAI成熟度診断は無料です。設問6つ、その場で結果が出ます。

質問03「入れたデータは、どこへ行きますか」

ここは、答えられて当然の質問です。答えに詰まるようなら、その一点で判断していいと思います。

確認したいのは3つ。入力した情報が学習に使われる設定になっていないか。契約はどの事業者と結ぶのか。社員が使うときのルールは誰が作るのか。詳しくは生成AIに入れていい情報・ダメな情報で整理しましたが、要点は「全面禁止でも野放しでもない線を、どこに引くか」です。

良い相手は「その線引きを、御社のルールとして一緒に作りましょう」と言います。「このサービスは安全なので大丈夫です」だけで済ませる相手は、ルール作りまでは面倒を見ないということ。ツールの安全性と社内の運用ルールは、別の話です。

質問04「やめたほうがいい、と言った例はありますか」

この質問がいちばん効きます。

まともに現場を見てきた相手なら、「これはAIに向かなかった」という話を持っているはずです。出てこないとしたら、経験が浅いか、都合の悪い話を出さない方針かのどちらかでしょう。

当社の例で言えば、EC商品ページの公開を5日から半日に短縮した案件で2つ「やめて」います。画像の自動背景除去は精度が安定せず、人の作業に戻しました。キャッチコピーの完全自動公開も、店の雰囲気を守るために「人が1案選ぶ」形に戻しています。

そしてこの案件でいちばん効いたのは、AIの機能ではありませんでした。店長と経理が順番に確認していた承認の流れを、権限を委譲して「即時確認」に変えたこと。それが5日を半日にした最大の要因です。ツールの話しかしない相手は、この結論にはたどり着けません。

あわせて、補助金の話が出たときの答え方も見ておくといいと思います。「申請書類の作成もお任せください」と言われたら、そこは慎重に。報酬を得て業として補助金の申請書類を作成・提出することは、行政書士の業務とされています。事業計画づくりの相談と、申請書類の作成代行は別です。制度そのものは補助金2026の記事にまとめました。個別の判断は行政書士や顧問税理士にご確認ください。

質問05「終わったあと、私たちだけで回せますか」

最後は、別れ方の質問です。

支援には2つの型があります。ずっと運用を代行してもらう型と、自社で回せるようにして引き継ぐ型。どちらが悪いということはありません。ただしどちらの型なのかが最初に共有されていないと、あとで食い違います。

聞き方はこうです。「終わったあと、設定を変えたくなったら誰が触りますか」「手順書は残りますか。私たちが読んで分かる形ですか」「アカウントの契約名義は、うちになりますか」。

最後の1つは地味ですが重要です。ツールの契約が支援会社の名義のままだと、離れるときにやり直しが増えます。契約前に確認しておいてください。

答えを聞くときの、3つの注意

注意 01 / 数字の断定を疑う「必ず◯割削減できます」と言い切る提案は成立しません。同じ仕組みでも、業務の作り方と人の慣れで結果は変わります。良い相手は「試して測りましょう」と言います。
注意 02 / 提案した人が担当するとは限らない面談に来た方と現場に入る方が別なのは、よくあることです。それ自体は悪くありません。誰が、どのくらいの頻度で見るのかを契約前に確かめてください。
注意 03 / 最初から大きく始めないいきなり全社導入を勧める提案より、1業務・数ヶ月から始める提案のほうが多くの場合は健全です。うまくいかなかったときの損が小さいためです。

では、当社ならどう答えるか

同じ5問を、自分たちに向けます。

質問01。最初にやるのは業務時間の棚卸しです。どの作業に何分かかっているかを一緒に書き出し、機械に任せる工程と人が残す工程を切り分けます。ツールを決めるのはその後です。

質問02。費用は4つのBOXで提示します。料金はサービスページに公開しています(SPOT 20万円〜/PARTNER 月20万円〜・いずれも税抜)。社内側の稼働は、案件により週6〜8時間ほど見込んでいただきます。

質問03。入れていい情報・ダメな情報の線引きを、御社のルールとして一緒に作ります。A4一枚で構いません。運用されないルールは意味がないからです。

質問04。やめた例は、この記事に2つ書きました。ほかにもあります。AIで良くならない業務は「やらない」とお伝えします。

質問05。自社で回せるようにするのが基本方針です。手順書は残しますし、アカウントの名義は御社にしていただきます。

グローカルワークスは福岡市中央区で創業して20年、100社を超える企業の業務改善に伴走してきました。AI導入支援に限っても20社を超えます。自社の業務にもAIを使っています。生成AIとの距離感の話から始めていただいても構いません。福岡・佐賀のほか、オンラインでも対応します。

そして最後に、いちばん大事なことを。この5問に丁寧に答える会社が、当社である必要はありません。質問して、納得できる答えが返ってきた相手を選んでください。それがこの記事の目的です。

よくある質問

AIコンサルタントに、公的な資格はありますか?

「AIコンサルタント」という肩書きそのものは、名乗るのに資格を必要としません。税理士や行政書士のような業務独占資格ではないためです。関連する公的資格として中小企業診断士やITコーディネータなどがありますが、これらはAI導入支援を独占する資格ではありませんし、持っていない方に力がないという意味でもありません。肩書きや保有資格の一覧ではなく、具体的な質問への答え方で判断することをおすすめします。

見積金額が高いのか安いのか、判断できません。

総額だけでは判断できません。同じ金額でも、含まれる範囲がまったく違うためです。ツールの利用料、初期の設計・整備、運用と改善の継続費用に分けて出してもらい、さらに見積書には載らない「社内の人が使い方を覚え、手順を作り直す時間」を自社側で見込んでください。当社がご一緒した例では、社内側の稼働が週6〜8時間ほど必要でした。金額の比較は、この4つを揃えてからです。

大手とローカルの会社、どちらに頼むべきですか?

規模そのものより、「提案した人が実際に手を動かすのか」を確認してください。提案の場に来た方と、実際に現場に入る方が別というのはよくあることです。それ自体が悪いわけではありませんが、誰が担当し、どのくらいの頻度で現場を見るのかは契約前に確かめる価値があります。あわせて、業務の中身を聞かずにツールの話から始まる提案には注意してください。

質問する前に、現在地を。

自社がいまどの段階にいるかが分かると、面談での聞き方が変わります。無料の診断で、60秒で確かめてみませんか。